2022年7月18日鑑賞会
2022年7月18日、日本美術刀剣保存協会大分支部は、中原信夫先生を講師としてお招きし、刀剣鑑賞会を開催いたしました。鑑賞会に使用した1-5号刀を中原先生の解説ビデオ付きで紹介いたします。
1号刀解説
- 銘文:重吉(古刀期鹿児島の鹿屋鍛治・鹿屋は大隅半島の海上交通の要衝地)
- 形態:身幅もあって一見鎌倉期の短刀姿
- 刃文:細直刃、匂い口締まる(末古刀)
- 備考:重吉は珍品、本阿弥は「細直刃を焼くのは田舎鍛治」とした。(波平、金剛兵衛、月山など)
2号刀解説
- 銘文:藤原貞行(豊後、細たがね、「原」の第三角が欠・初代)
- 形態:長巻直し造り、先反りつく
- 刃文:中直ぐ刃、匂い崩れあり、ふくらたっぷり
- 備考:山田正任「先反りあって下品」と評したのは誤り(時代の特徴)
3号刀解説
- 銘文:寶壽(天保ころ)、加藤長運斎綱俊の弟
- 形態:細身(長さは55〜6センチか)大身の家の子の元服差し
- 刃文:直ぐ刃、ところどころに表裏揃った二重刃がある(意図的)
- 備考:意図的に入れた刃文は「若い」と見る。「若い」は刀の世界では「新々刀」のこと
4号刀解説
- 銘文:河内守藤原国助(初代)
- 形態:「磨り上げ」だが「ふんばり」あり(新刀) 二筋樋
- 刃文:幅の広い互の目、玉焼あり、帽子・かえりが深い(新刀の特徴)
- 備考:新刀は磨り上げてもふんばりがあるものが多い
5号刀解説
- 銘文:備州長船住景光(重要美術品)
- 形態:磨り上げ「ふんばりが抜ける」(古刀)
- 刃文:片落ち互の目、さか足 うつりあり 帽子の残りわずか
- 備考:鍛え肌が最高に美しい(杢目・板目鍛えが地に沈んで見える)
景光銘の刀で片落ち互の目が切っ先からはばき元まであるものはない(あっても無銘極め)
参加された皆様、お疲れ様でした。中原先生、大変ありがとうございました。